ことしも、夏の東京ナンバーワンを決める東京都知事杯第48回東京都学童軟式野球大会フィールドフォース・トーナメントが6月21日から7月27日の日程で行われた。毎年、名勝負が繰り広げられる伝統の大会は、学童野球選手を応援するフィールドフォースが大切にしている大舞台でもある。
全国大会よりも長い伝統と、大会独自の楽しみ方
「小学生の甲子園」といえば、現在、新潟県で行われている高円宮賜杯全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメント。ことし45回目を迎えた同大会よりも、長い歴史を持つのが都知事杯だ。ここでは毎年、1か月ほど前に開催される全日本学童東京都予選ともひと味違う、白熱の好勝負が繰り広げられる。
ことしの第48回大会を制したのは、全日本学童予選でも優勝した不動パイレーツ(目黒)。全国大会でも好成績を残している、押しも押されもせぬ強豪が今季、都大会無敗のまま、都知事杯も勝ち抜いた。その一方で、決勝で不動と緊迫の接戦を演じた準優勝のフェニックス(台東)、3位の本村クラブ(港)、グレートベアー(武蔵村山)の3チームは、いずれも都大会で初のメダル獲得と、上位入賞はフレッシュな顔ぶれとなった。
全日本学童予選からわずか1か月。しかし、この短い期間で、学童野球チームは見違えるほどに成長する。それを目の当たりにできるのも、都知事杯の面白さだ。準優勝したフェニックスの大石剛士監督は「1試合ごとに強くなった。大会前とは別のチームのよう」と、戦いながらどんどんたくましくなる選手たちに、驚きの表情すら浮かべていた。
4月中に支部予選が終わってしまう全日本学童予選には「チームづくりが間に合わなかった」という“隠れた強豪”は結構な数、あるのだ。そんな急成長中のチームや、それまで目立たなかった好投手やスラッガーを見つける楽しみも、都知事杯ならではといえるだろうか。
すべては東京都軟式野球連盟との出会いから…
この伝統の大会を、フィールドフォースが冠協賛社として応援して、ことしで9年。学童球児を全力で応援する企業としての姿勢を象徴する大会でもある。
フィールドフォースは、派手な宣伝・広告をしない会社だ。社長の吉村尚記が説明する。
「たとえばプロ選手と専属契約をしたり、派手な広告を展開したりすると、最終的には、その費用が商品代金に乗ってくることになります。フィールドフォースは、それよりも、少しでもリーズナブルな価格で商品を提供することで、学童野球選手を応援したいと思うんです」
しかし、大会協賛については、通常の宣伝活動とは違う側面もある。この都知事杯を「フィールドフォース・トーナメント」として開催することになった経緯も、そんなところにあるのだ。
吉村が当時、東京都軟式野球連盟の専務理事をしていた、故・牧野勝行さんと出会ったのは2016年のこと。フィールドフォースのユニークな商品群とともに、子どもたちと向き合う企業姿勢にも共感した牧野さんから、吉村に大会協賛の依頼があったのは、最初に会ってから、ひと月と経たない頃のことだった。
野球界の底辺を支えるために
いわく、学童野球大会は、野球人口の底辺を支えるための活動。力を貸してくれないだろうか。そして、学童野球を一緒に盛り上げてくれないだろうか──。単なる企業の宣伝ではなく、一緒に子どもたちを応援してほしい、そんな提案だったのだ。
「一も二もありませんでした。二つ返事でOKさせてもらったんです」
吉村が回想する。
フィールドフォースが東京・足立区でボールパーク1を始めたばかりの頃の話だ。会社の知名度も、現在よりはずっと低かった。実をいえば、連盟内では大会スポンサーとしてふさわしい会社なのか、という議論もあったと聞く。そうした意見を押し切ったのは、牧野さんの情熱と決断だったという。
「自分も学童野球チームに携わっていますから、以前から当然知っていた、伝統ある大会です」と吉村。「もとより、学童野球選手を応援し、野球界の底辺を支えることは、フィールドフォースの目標でもあり、使命でもある。そして、牧野さんの思いにも応えたいと思ったんです」
そうして、伝統の大会に全面的に関わることが決まったのだった。
「冠スポンサーとして大会を支えることはもちろん、参加チーム、参加選手にとっても、この大会に出場することが名誉であってほしい。選手たちのモチベーションアップにつながってくれればと、上位チームや大会MVP選手への商品だけでなく、毎年、全チームに届くよう、オリジナルの参加賞をお配りするなど、フィールドフォースならではの取り組みを考え、形にしています」
バトンを引き継ぎ、伝統を積み重ねる
大会協賛を始めてから9年の間には、協賛の話を持ち掛けてくれた恩人の牧野さんが亡くなるなど、悲しいニュースも。一方のフィールドフォースは拠点が増えるなど、多少なりともは知名度は上がった(と思われる)。それにはもちろん、都知事杯を協賛したことによる効果もあったに違いない。「都知事杯」の呼称と同程度には、「フィールドフォース・トーナメント」と呼ばれるのを耳にするようになった。フィールドフォースを冠した大会名も徐々に、浸透してきたのだ。
吉村は言う。
「伝統ある大きな大会を、これからもしっかりと盛り上げていきたいと思っています。そして、選手たちが出てよかったと思える大会にするお手伝いを続けたい」
もちろん、宣伝・広告効果もある大会協賛だが、子どもたちを応援するフィールドフォースにとっては、それ以上に大きな意味もあるのだ。